(株)原興業は、長岡市竹之高地町出身の社長が40年ほど前に起業した建設会社。働きにきてくれた農家の人々や社長の親戚など、同社の成長には、故郷の人々の支えが欠かせませんでした。しかし、同町は過疎化の進行が著しく、残っていた農家も平成16年の中越地震を機に離村、事実上の廃村に追い込まれてしまいました。
こうした状況を受けた、同社社長の故郷を何とかしたい、自分を育ててくれた人々に恩返しをしたい、との思いが、有機農業を通した村おこし活動につながりました。
(有)原ホーム(グループ企業)では、建設重機で集落内の耕作放棄地を農園として整備、5年ほど前に立ち上げた産業廃棄物処理部門で、食品残渣からリサイクル製造したオリジナルの肥料を活用し、無農薬の有機農業を始めました。
こうして栽培されたナス、ピーマンなどをはじめとする野菜や山菜は、同社によりネット販売されていますが、独自の製造法でミネラル分をたっぷり含む肥料の効果もあり、つや、大きさ、甘みなど、周辺の農家も驚くほどの品質の高さが評判となっています。
有機農業への取組の結果、この事業にたずさわる同社社員や、同社が耕作放棄地から甦らせた畑を借りて耕すかつての住人など、住む人はいなくなった集落ですが、日中は徐々に人が戻ってきました。休憩のための小屋も整備され、最近では鯉を飼う、紙を漉く、といった活動のために集落に通ってくる人々の姿も目立ちます。
今後も農園をさらに充実させ、集落に再建された神社の参拝や付近の温泉などとセットにした観光コースとしてPRし、一人でも多くの人にこの地を訪れてほしいというのが、同社の願いです。